2024-02-22

蝶々

を

さびしい

夜に

忘れ

来し

2024-02-22

寒明けて

ぎりぎり

とどまる

命

かな

2024-02-22

旅鞄

旅

の

重さ

に

擦り切れて

2024-02-22

蛍火

の

人

より

先に

消えそうな

2024-02-22

相討てり

源平合戦

蛍

かな

2024-02-22

母子草

摘まれず

あれば

まだ

死ねず

2024-02-22

蛍火

が

待機

している

寝屋

の

隅

2024-02-22

わが呼吸

を

計る

ごとく

蛍

来る

2024-02-22

生誕

を

祝うて

来しは

氷雨

かな

2024-02-22

堕落

するに

時間

足りず

麦の秋

2024-02-22

便所

にて

月光

生まれる

時

を

見し

2024-02-22

月優し

窓辺

の

崖

に

身

を

投げて

2024-02-22

遠山

に

霞みし

故郷

砲撃し

2024-02-22

火事

ひとつ

出さぬ

故郷

見限りて

2024-02-22

深緑

や

山河

に

埋もるる

故郷

なり

2024-02-22

囚われて

いっそ

鳴くなり

籠の鳥

2024-02-22

庭

に

植え

咲かぬ

花

なる

草の花

2024-02-22

夏の蝉

お前に

なんの

話

あり

2024-02-22

夏痩せて

細き

骨盤

顕なり

2024-02-22

言霊

に

謀反

されたり

秋の声

2024-02-22

雪解川

わが身

を

迂回

して

流れ

2024-02-22

生き

急ぐ

われらに

夕焼け

似合わざり

2024-02-22

満開

の

さくら

は

さくら

われ

は

われ

2024-02-22

枯木立

枝々

みんな

縄

を

垂れ

2024-02-22

しんとして

だれ

を

待つ

やら

枝の縄

2024-02-22

縄

垂れて

しきりに

誘う

春の宵

2024-02-22

なにものにも

われ

は

なれる

と

更衣

2024-02-22

肉

の

なき

この世

の

体

に

更衣

2024-02-22

蟇蛙

天地

の

隔たり

ものともせず

2024-02-22

牛蛙

無数

の

電波

の

声

の

中

2024-02-22

その時

が

来たれば

人

死ぬ

花山椒

2024-02-22

気

の効いた

空なる

言葉

花山椒

2024-02-22

野の花

の

先に

乱るる

この世

あり

2024-02-22

色町

を

囲んで

隙なし

曼珠沙華

2024-02-22

色町

の

津々浦々

曼珠沙華

2024-02-22

色町

に

見向き

もされぬ

墓場

あり

2024-02-22

苦界

には

苦界

の

花

咲く

曼珠沙華

2024-02-22

凧

上がれば

人

を

見下ろせり

2024-02-22

力尽き

天空

漂う

凧

2024-02-22

卑小

なる

この世

突き抜け

凧

上がり

2024-02-22

老

い

の

目

の

先に

なぜに

桃

は

咲

き

2024-02-22

桃

を

剥く

老いて

無様な

指

使い

2024-02-22

熟しきった

桃

に

見向き

も

人はせず

2024-02-22

熟す

まで

人

は

待てず

に

桃

を

摘み

2024-02-22

咲かぬ

うち

人

が

摘むなり

桃の花

2024-02-22

枯れ

ゆける

町

に

生者

は

根

を

生やし

2024-02-22

初雪

や

負け犬

どっと

横倒し

2024-02-22

ごみ箱

へ

段々

数増す

蛍

かな

2024-02-22

蛍狩り

この世

の

蛍  

取り尽くす

2024-02-22

蛍火

の

籠

から

籠

へ

売られ

来し

2024-02-22

蛍籠

人

は

見えない

籠

の

中

2024-02-22

惚けたる

を

許さぬ

この世

の

福寿草

2024-02-22

亡骸

に

会い

に

上る

花の坂

2024-02-22

薄氷

を

踏みて

落ちてく

おのが穴

2024-02-22

墓穴

に

ごみ

が

捨てらる

秋彼岸

2024-02-22

墓前

の

花

拾うた

銭

で

買うて

ゆき

2024-02-22

残数

は

いかほど

なりし

朝寝

かな

2024-02-22

昼寝覚

この世

と

あの世

取り違え

2024-02-22

結局

は

この世

しか

なくて

昼寝覚

2024-02-22

昼寝覚

どれだけ

老いて

戻り

来し

2024-02-22

あの世

から

脱獄

したりて

昼寝覚

2024-02-22

あの世

へと

逃亡

しきれず

昼寝覚

2024-02-22

昼寝覚

そのまま

いるを

許されず

2024-02-22

人生

の

清算

待ってる

朝寝

かな

2024-02-22

朝寝

して

夢

の

欠片

繋ぎ合わせ

2024-02-22

覚めて

のち

いる

場所

あらず

朝寝

かな

2024-02-22

墓

の

前

みんな

他所向く

彼岸花

2024-02-22

畳

の

上

おのが

骨

かと

拾い

けり

2024-02-22

転んだ

まま

夢

を

拾えり

春の昼

2024-02-22

月見草

なぜか

月光

避けている

2024-02-22

蛍火

や

もはや

鏡

に

映らざり

2024-02-22

死ぬ

ことが

郷愁

めいて

日向ぼこ

2024-02-22

今日

も

また

枯木

の

ごとき

影

と

行く

2024-02-22

わが

生

は

一夜

で

枯れし

枯れすすき

2024-02-22

かたつむり

周回

遅れ

の

ままで

死ぬ

2024-02-22

寒月夜

おのれ

求めて

徘徊

す