2024-02-11

老いたれば

あらぬ

ごとき

や

雲の峰

2024-02-11

蛍火

は

孤独

に

耐えかね

点る

かな

2024-02-11

どこよりも

さびしき

故郷

の

蛍

かな

2024-02-11

いくたり

の

屍

受け入れ

青山河

2024-02-11

大空

の

どこかに

蝶

は

巣

を

作り

2024-02-11

微睡め

ば

蛍

の

宴

窓の外

2024-02-11

浮草

の

水

に

根っこ

張り詰めて

2024-02-11

ぎゅうぎゅう

に

浮草

集うて

ありし

かな

2024-02-11

浮草

に

見れば

しがらみ

ありし

かな

2024-02-11

浮草

や

根

を

張る

大地

を

人

流れ

2024-02-11

間男

と

ふたり

で

見ている

春の月

2024-02-11

ふと

見れば

寝間

まで

続く

蟻の道

2024-02-11

水風呂

に

ふやけた

体

漬け

直し

2024-02-11

ふと

見れば

股

のとこ

まで

蟻

が

這い

2024-02-11

骨片

が

ところ

どころ

蟻の道

2024-02-11

鳥雲に

激しく

争う

声

漏れて

2024-02-11

曇天

に

やる気

なさげに

案山子

立ち

2024-02-11

顔

描けば

父

に

似たりし

案山子

かな

2024-02-11

真ん中

に

案山子

立ってる

別れ道

2024-02-11

蝶

行けり

想像力

の

埒外

に

2024-02-11

蝶々

の

睦みし

後

の

しどけなさ

2024-02-11

越えたれば

なんてことなし

雲の峰

2024-02-11

厠

から

歩いて

三歩

雪解川

2024-02-11

初夢

の

結末

いつも

あやふやに

2024-02-11

死んだ

のも

忘れて

踊り

の

中に

入る

2024-02-11

涅槃西風

どんな

境地

も

至れざり

2024-02-11

牡丹

散り

合わせし

ごとく

人

逝けり

2024-02-11

血

が

落ちて

広がり

ゆきて

水温み

2024-02-11

チューリップ

ごつごつ

頭

打ち合うて

2024-02-11

牡丹

咲き

おのずと

死期

を

知りにけり

2024-02-11

牡丹

咲き

それを

尻目

に

人

は

死に

2024-02-11

孤独死

を

逃れる

すべなし

春疾風

2024-02-11

始まり

は

一通

の

手紙

春疾風

2024-02-11

死に目

には

会えず

と

知りつつ

春疾風

2024-02-11

探梅

の

それは

黄泉

を

巡る

ごと

2024-02-11

探梅

や

中

に

亡者

二三人

2024-02-11

秋風

や

生者

は

死者

の

声

聞かず

2024-02-11

風

強く

開き

あぐねし

牡丹

かな

2024-02-11

稲妻

に

歩く

や

戻る

家

も

なく

2024-02-11

探梅

や

ひとり

はぐれて

やよ

楽し

2024-02-11

老滝

の

一瞬

止まり

し

ごとく

あり

2024-02-11

ためらいつ

身

を

投げ続く

滝の水

2024-02-11

日脚伸び

只今

孤独死

続行中

2024-02-11

ありありと

恋猫

消耗

しきって

2024-02-11

近所じゅう

子猫

の

声

する

猫の恋

2024-02-11

ずりずり

と

伸びくる

日脚

に

身

を

寄せて

2024-02-11

病間

から

身

を

這い出して

日向ぼっこ

2024-02-11

日向ぼっこ

暗き

世相

に

囲まれて 

2024-02-11

日向ぼっこ

どこか

緊張する

人

と

2024-02-11

末期

なり

今さら

蛍

灯り

ても