2024-03-24

逆しまに

不二山

見れば

空

隠れ

2024-03-24

麦

踏む

は

天地

の

狭間

の

人柱

2024-03-24

麦

踏む

や

ただ

死ぬための

それだけで

2024-03-24

冬空

を

飛びゆく

蝶

の

羽音

かな

2024-03-24

やまびこ

の

消えゆく

谷間

の

桜

かな

2024-03-24

滝

凍る

諸処に

悲鳴

の

ごとき

上げ

2024-03-24

春

行きて

老いし

者

のみ

残り

けり

2024-03-24

火蛾

舞う

や

鏡

の

中

から

飛び出ては

2024-03-24

露の世

を

流れ

損じし

露

ひとつ

2024-03-24

春真昼

おのれの

影

を

絞め殺し

2024-03-24

炎天

に

おのれの

影

に

ナイフ

刺し

2024-03-24

死

と

遊び

死

に

遊ばれて

年の暮

2024-03-24

蝶

飛ばし

死者

の

行方

探す

なり

2024-03-24

蛍火

の

点る

ところ

に

死者

が

おり

2024-03-24

とんぼう

や

この世

に

ありぬ

死後の景

2024-03-24

道おしえ

歩いて

行ける

地獄

かな

2024-03-24

薄氷

の

どこにも

行けぬ

手水鉢

2024-03-24

流れ行く

薄氷

どこまで

形

あり

2024-03-24

交じる

露

交じらぬ

露

ともに

流れ

2024-03-24

蝶

飛んで

三途の川

も

温む

かな

2024-03-24

ひとり死に

空が明るくなりました

たくさん死に

空がそれは綺麗になりました

人いなくなり

本当の空になりました

2024-03-24

青空

に

張りつく

蝶

を

打ち

落とし

2024-03-24

冬空

の

向こう

に

故郷

浮いている

2024-03-24

豆

を

打つ

外

の

世界

は

鬼

だらけ